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Tuple library advanced features

この文書で解説されている上位の機能はすべて、名前空間 ::boost::tuples にある。

タプル型のためのメタ関数

T はタプル型であり、N は汎整数定数式であるとする。

element<N, T>::type

これはタプル型 TN 番目の要素の型となる。

length<T>::value

これはタプル型 T の要素数となる。

consリスト

タプルは内部的には consリスト として表現されている。 例えば、タプル

tuple<A, B, C, D>

は、型

cons<A, cons<B, cons<C, cons<D, null_type> > > >

を継承している。 タプル テンプレートは、consリストにアクセスするため、typedef名 inherited を提供している。 例えば: tuple<A>::inherited は型 cons<A, null_type> である。

空タプル

空タプル tuple<> の内部表現は null_type である。

headとtail

タプル テンプレートとconsテンプレートのどちらも、typedef名 head_typetail_type を提供している。 head_type は、タプル(またはconsリスト)の最初の要素の型となる。 tail_type は、最初の要素を除いたconsリストの残りの部分となる。 最初の要素は、メンバ変数 head に格納されており、tailリストはメンバ変数 tail にある。 consリストは、そのheadへの参照を得るためにメンバ関数 get_head() を、またtailへの参照を得るためにメンバ関数 get_tail() を提供している。 どちらの関数にも、constおよび非constのバージョンがある。

1要素のタプルにおいては、tail_typenull_type と等しく、get_tail() 関数は null_type のオブジェクトを返す。

空タプル(null_type)にはheadもtailも無い。 だから get_head および get_tail 関数は提供されない。

タプルをconsリストとして扱うと、タプルを操作するためのジェネリックな関数を定義するのが楽になる。 例えば、次の二つの関数テンプレートは、タプルのそれぞれの要素に0を代入する(もちろん、要素型にとって代入は正当な操作でなければならない):

inline void set_to_zero(const null_type&) {};

template <class H, class T>
inline void set_to_zero(cons<H, T>& x) { x.get_head() = 0; set_to_zero(x.get_tail()); }

consリストを構築する

consリストは、もし全ての要素がデフォルト コンストラクト可能であれば、デフォルト コンストラクト可能である。

consリストは、headおよびtailから構築可能である。コンストラクタのプロトタイプは:

cons(typename access_traits<head_type>::parameter_type h,
     const tail_type& t)

headパラメータの特性テンプレートは、任意の要素型に対して、適切なパラメータ型を選択する(参照型の要素では、パラメータ型は要素型と同じ、非参照型では、パラメータ型はconst非volatileへの参照となる)。

1要素のconsリストでは、tail引数(null_type)は省略してよい。

タプル要素型の特性クラス

access_traits

テンプレート access_traits は3つの型関数を定義する。 T があるタプルの要素型であるとしよう。

  • access_traits<T>::type は、非constのアクセス関数(非メンバおよびメンバの get 関数、get_head 関数)の返却値型になる。
  • access_traits<T>::const_type は、constのアクセス関数の返却値型になる。
  • access_traits<T>::parameter_type は、タプルのコンストラクタのパラメータ型になる。

make_tuple_traits

make_tuple 関数によって生成されるタプルの要素型は、型関数 make_tuple_traits により求められる。 型関数呼び出し make_tuple_traits<T>::type は、次のように型を対応付ける:

  • 参照型 -> コンパイル時エラー
  • 配列型 -> 配列型へのconst参照
  • reference_wrapper<T> -> T&
  • T -> T

reference_wrapper のオブジェクトは、ref または cref 関数によって生成されるものである(make_tuple 関数を参照されたい)。

参照ラッパはそもそもはtuple libraryの一部であったが、今やboostの汎用的なユーティリティとなった。 reference_wrapper テンプレートと ref および cref 関数は、主boostインクルードディレクトリにある別のファイル ref.hpp において、直接 boost 名前空間に定義されている。


(c) Copyright Jaakko Jarvi 2001.

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